一人暮らしをするという事は、同居家族の縛りからの解放を意味する
私は高校生の時から、卒業したら一人暮らしをしたいと憧れていた
一人暮らしをすれば、家族の目を気にせず好き放題過ごせる
そんなイメージがあり一人暮らしに憧れていた
人間には二通りの人間がいる
一つは自制できる人。もう一つは自制できない人
自制できる人はしっかりできるものだが、残り半分の自制できない人は
この一人暮らしで、人間の持つ三大欲求のどこかでタガが外れる
最低限のお金があれば、食べるものは自分で好きに選ぶことができる
家族に食事を制限されたり、用意されたものを食べる必要もない
予定が入っていなければ、夜更かしや睡眠もし放題である
誰に起こされるわけでもない。自分のさじ加減で寝る時間を調節できるのだ
異性も家に呼ぶことができる(呼び放題という表現は控えておく)
家族の目も気にすること無く、家に招くことができるのである
三大欲求のタガが外れた生活、なんと夢のようであろうか・・・
そんな夢のような生活にあこがれていた私は、高校を卒業後に大学へ入学
そして一人暮らしを始めた
早速外れたのは食欲の自制心だった
一人暮らしの初めての晩餐
それはチキンステーキと決めていた
何故だかわからないけどチキンステーキ
とにかくでかい鳥のもも肉を購入した
300gが3枚ほど入った鳥のもも肉
これを一人で食べれるなんて夢のようである
もちろんそれ以外は食べない
一汁三菜、そんな言葉は今の私にとってネコに小判
全く意味を持たないただの文字列である
早くチキンステーキを食べたい!!
当時はクックパッドや料理のレシピが書かれたサイトなどはまだ栄えておらず
段取りも分からない私は、取り合えず買った鳥のもも肉3枚を
すべてフライパンに投げ込んだ
火が通りやすくなるように、切れ目を入れるなんてことを知る由もない私は
20分近くそのもも肉を焼き続けた。それでも火が通り切らないもも肉
業を煮やした私は、火が通り切らないままのもも肉を3枚すべてお皿に入れ
それらをすべてむさぼり、間食した
牛肉のステーキに、レアの焼き加減があるのだから問題ないと思っていた
お魚も刺身とかで生で食べるし問題ないと思っていた
しかし現実は違った
下るお腹
湧き出る嗚咽感
いつもご飯を作っていた母親の偉大さを感じた
それから、数年たった
何やかんやあって結婚して、子どもも生まれ、いつの間にか家族となった私は
肉の焼き方も大分上達していた
結婚して子どもも生まれ、今後一人暮らしをすることはないだろう・・・
そう思っていた矢先、嫁さんが体調を崩し子どもを連れて三か月ほど
実家に帰ることとなった
再び始まった一人暮らし
私の食欲のタガが外れる音が聞こえた
学生の頃よりも、手元にあるお金が少し増えた私は
牛肉のステーキを食べることにした
それはもう高いステーキ
サーロインにヒレ肉、そしてあと霜が降ったすごい肉
※イメージ
それはもう、学生時代の自分が到底手の届かなかったであろうすごい肉
すべて嫁さんには内緒である
今の私は、ある程度肉の焼き方の段取りをわきまえているし
ネットを見れば「美味しい肉の焼き方」なんて
それはもう腐るほど出てくる現代社会
美味しく焼けないはずが無かった
それはもう、チキンステーキで腹を下したあの頃の私に
食べさせてあげたいほどの素敵な牛肉のステーキ
美味しかった
でも
味気なかった
嫁さんが実家に帰っている間に、内緒で一人で食べる牛ステーキ
※ここから話を盛っています
私の目から一筋の涙が落ちた
牛肉のステーキの上に落ちた涙
少しだけしょっぱい涙というスパイスを振ったステーキを
むさぼる私は今一人
※以上話を盛るのはおわり
一人暮らしもいいけど、家族みんな暖かかく食卓を囲みたい・・・
そう思った一幕
私は父親になったのだなあ・・・
これから私の娘も一人暮らしに憧れ、いつの日かは家を出ていくのだろうか
確かに一人暮らしは楽しい
しかし、それだけたくさんの危険やリスクも伴っている
そう、あのチキンステーキのように
一人暮らしの中で、自分の欲求と戦い、勝ったり負けたりしながらも
色々な事を学び、そして成長していってほしい
行け、若者よ!
行け、我が娘よ!!
・・・あれ、これ何についての日記でしたっけ?
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